給与にまつわる原則など
*このページの記載事項を定めている労働基準法、最低賃金法で給与は「賃金」という名称で表され
ているため、文中では「賃金」と表記いたします。
給与とは…
労働基準法では賃金について「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の
対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。(労働基準法11条)」と定められ
ています。
特定の人に恩恵的に支払うもの(お祝い金・見舞金など)は賃金ではありませんが、就業規
則に規定されていれば賃金になります。また退職金も就業規則に定められていれば賃金とみ
なされます。
給与支払いの5原則
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わな
ければならない、と定められています。(労働基準法24条)
原則1.通貨で支払う(通貨払いの原則)
原則2.直接支払う(直接払いの原則)
原則3.全額を支払う(全額払いの原則)
原則4.毎月1回以上支払う(毎月払いの原則)
原則5.一定の期日に支払う(一定期日払いの原則)
賃金(給与)規程
賃金に関することは就業規則の一部である賃金(給与)規程で定めることになりますが、就
業規則を作成するときには賃金の決定・計算・支払いの方法、締切り・支払の時期について
必ず規定しなければならないと定められています。(労働基準法89条)
雇用形態が異なり給与体系も異なる労働者が存在する場合は、それぞれの給与規程を定める
必要があります。
賃金台帳
労働基準法で作成および保管が義務付けられている書類のなかに「法定3帳簿」といわれる
以下の書類があり、賃金台帳はその中のひとつです。
・労働者名簿
労働者の氏名・住所・入社年月日・生年月日などの基礎的なデータで、記載しなければな
らない事項が決まっています。
・賃金台帳
賃金の計算期間・労働日数・賃金の種類と金額などを、賃金を支払うごとに記載します。
労働者名簿同様に記載しなければならない事項が決まっています。
・出勤簿
タイムカードなど、労働者の労働日数等を確実に把握するためのもので、給与計算の元デ
ータとなります。
これらの書類が未整備な場合は罰則の対象となり、労働基準監督署の検査等では必ず調査対
象となります。また書類は3年間の保存が義務付けられています。
最低賃金
最低賃金法により、使用者は最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとさ
れています。最低賃金には都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用される地域別最
低賃金と、特定の産業について設定される特定(産業別)最低賃金があり、時間額で定めら
れています。地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、高い方の最低賃金
額が適用されます。
また、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用すると
雇用機会をかえって狭めてしまう恐れがあるため、特定の労働者(※)については、使用者
が行政の許可を受けることを条件に個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
※ 最低賃金の減額特例を受けられる労働者
1.精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
2.試の使用期間中の者
3.職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける者のうち一定のもの
4. イ 軽易な業務に従事する者
ロ 断続的労働に従事する者